DIR EN GREYのデジタルシングル「落ちた事のある空」を購入したので感想記事を書いてみました。
コロナ禍真っ只中に制作され、ライブ公演も中止となった後に発表された待望の新曲です。
2020/08/03の現時点では歌詞(詩)がわからないので、曲を聴いた印象などを書きます。
購入前に曲展開などネタバレが気になる方は、そのへんにも触れているのでご注意ください。
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DIR EN GREY – 落ちた事のある空
新曲「落ちた事のある空」は気持ちいい曲
長さもちょうど良い。何回も聴ける!
曲展開が気持ちいい
ゴリゴリ&ノリノリのギターリフでがなり声でのハードな展開からハイトーンなサビに突入する本作。
なんと最初のサビまで46秒!という短さです。
最近の音楽はサブスクやMVでの聞かれやすさ=曲の短さやシンプルさがヒットにつながるとか評されていますが、その意味では本作はまさにナウなアレンジです。
しかもサビ終わりからがまた面白い。
1分過ぎあたりから、なんと一転して突然ムーディーでメロディアスなパートに切り替わります。
おそらくギターだと思われる逆回転したような音や、ビープ音的なエフェクトとダンサブルなドラムトラックがメロウな歌と合わさり最高です。
好きなパートなので、リピートしてます。
1分40秒あたりからは再度サビですが、これも面白くて歌メロが今度はオクターブ下?です。
えっ!?ってなります。
ブレイクビーツ的パートを挟んでの、2分30秒あたりからのビートダウンでやはりアレンジ意図を確信できました。
こういうパートはこれまでだったら、「とにかくゴツくハードに!」で京さんがシャウトしたり、硬めのギター音色で攻めていたはずです。
でも今回はノイジー&どこかデジタルな質感です(ギターの音がぶっ潰れてノイズまじりです)。
どちらかと言えばカオティックさやマシーナリーな冷血さを表現した印象です。
ちょっと前だとギターソロがあるあたりに、代わりにブレイクパートがある感じ。
3分13秒の曲終わり付近の奇妙な展開は、古式ゆかしいV系の匂いを感じました。
一つの基本になるリフが全編通してブンブン鳴っていて、通して聴くとアゲアゲになる。ライブやアルバムの1曲目に似合いそうな曲ですね。
音が気持ちいい
音が気持ち良いです。
近作のアルバム「The Insulated World」もリズムが気持ち良い作品でしたが、さらに磨きがかかっているように感じます。
最近のヘヴィミュージックの流行りは追ってないので詳しくないですが、BMTHやCode Orangeなどのあの音像。
それを言葉にするなら…
どことなくデジタルな感じで、ギターもベースもブリブリ・ジージー鳴ってて、ダンスミュージックにも親しい雰囲気?でしょうか。
新曲もそういうナウな音でやってる気がします。
そういえばイントロのギターリフとタムのドンドコ感とか「MANTRA」っぽい気が…。
だけど歌詞(詩)は「痛み」、なのかも?
さらっと聴き逃すなよ!とばかりに耳残りするワード「8月6日の朝」が気になります。
もしCD版が発売されたらチェックしてみたいです。
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DIR EN GREY – 落ちた事のある空
リメイク曲「CLEVER SLEAZOID」感想
まずぱっと聴いて気づくのが、歌詞(詩)ですね。
原曲は英語を多様した曲だったのが、おそらくですがほぼ日本語になっています。
流れ去るような疾走感はオリジナルが強いと思います。
一方リメイクは、それまで車輪で走っていた車に突然足が生えて同じ速度で追いかけてきそうな爆走感があります(なんじゃそりゃ)。
スピードは同じでもドタバタ駆け抜けていく…異形リメイクですね。
曲展開を魔改造しまくるようなかつてのリメイクとは違いますが、音作りや作曲の発想がおそらく当時と違っているので、全然違う良さが出てますね。
こちらもやはり音が気持ち良いです。
展開はあまり変わってないにしては、別物感を感じました。
LIVEテイクの「Followers」とスタジオ音源
LIVEテイクのFollowers(イギリス・ロンドン公演、アルバム「The Insulated World」収録曲)もベストなテイクでコアなファンは買って損はしません。
他スタジオ音源2曲と比べて違和感のないMIXなのが良い。10年くらい前はスタジオ音源とライブ音源が乖離しているような印象でした。
複雑な造形美術から身体性を伴うライブアートへ
スタジオ音源の方はより生に近い仕上がりになり、ライブ演奏はスタジオ音源の表現と差を感じさせないスタイルになっている。
その両側面が影響しているから差を感じなくなっているのだと思います。
UROBOROS(2008)、DUM SPIRO SPERO(2011)といったデカイ山みたいな大作アルバム作品は、トラック数も多くMIXの演出も複雑な、「細密な構築造形物」といった印象だったスタジオ音源です。
ただ、やはりライブでそれを表現するとなると、また別物としての解釈での表現となる側面もあったように感じます。
スタジオ・アルバムで一度表現は完結。その後ライブ的な印象でした。
その時代を経て、近年では、より5人のメンバーが表現する「ガッとまとまった塊」のような音像への挑戦があるように感じます。
ただ単に『ライブ再現性のあるスタジオ音源』であるとか、『バンド感のある楽曲制作』といったレベルにとどまらず、過去の構築物的、静的表現をリアルタイムな動的表現に落とし込むような試みを感じるのです。
曲の長さや重厚なアレンジを使わずに同じ効果を出している
例えばですが(あくまで俺個人の感覚での話で)以下のような印象です。
ギターリフの重ね合わせや展開を見せるための曲の長さが必要だった
↓
どんな展開で、どんな音を出せば最大の効果が出るかわかってきた
↓
シンプルなトラックで短い時間でも世界観を表現をできるようになった
↓
グラフィックデザインされた「ロゴ」や「フォント」のように、シンプルで強固な構造を獲得
最近のDIRのかっこよさは、こういった部分では?と勝手に思っています。
とか言って、前作のシングルは10分超えなんですけどね笑。
でも、あの曲も「壮大な絵巻物」というより、「シンプルなモチーフの現代美術」という印象なので、モードは同じだと思ってます。
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DIR EN GREY – 落ちた事のある空
まとめ
「落ちた事のある空」「CLEVER SLEAZOID」両曲とも、3分すこしという短さながら「ハッ」とさせる展開を自然に詰め合わせたアレンジは秀逸。
最近のDIRのお得意な技をふんだんに詰め込んだ、まさにシングルらしいシングルという印象でした。
デジタルでMP3音源を購入することなどほぼ無い自分ですが、750円(くらいだったかな?)の価格は嬉しいですね。
バラバラでも購入できるし、家から日付が変わると同時にDIRの新曲が手に入るとは!いい時代ですね(認識が古い)。
ではまた!
その他、リンクなど
MV
MVは実写パートと、かつて「Agitated Screams of Maggots」のMVも手掛けた、黒坂圭太氏のイラスト・アニメーションがコラボレーションした作品となっています。
関連リンク
上記記事のインタビュー最後に「新アルバムの制作に入る」とのコメントも…!
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